6月の住宅ローン金利上昇。繰り上げ返済は悪手か?賃貸派コンサルの不動産投資戦略
6月の金利上昇のニュースを見て『住宅ローン、早く返さないと損では』と焦る瞬間があるなら、この記事はあなたのための再整理です。ただし先に断っておくと、これは「こう返せ」という指南書ではなく、投資用ローンを”あえて前倒し返済した”私の、理屈と実践がズレた記録でもあります。
結論の骨格はシンプルです。低金利の自宅住宅ローンは、急いで返さない。返さずに空いた余剰資金の”行き先”をどう設計するかが本題です——ここはリベ大と完全に同意見。その上で私は、教科書的な「レバレッジ温存」ではなく、投資用ローンを前倒し返済してキャッシュフローを作る道を選びました。その理屈と実践の乖離を、隠さずに書きます。
この記事で得られること
結論:低金利の自宅住宅ローンは急いで返さない。返さずに空いた余剰資金と与信枠の行き先を、自分の性格と下振れまで込みで設計するのが本題です。
- 「借金は早く返せ」が住宅ローンにどこまで当てはまるか——リベ大と同意見の部分の切り分け
- 「レバレッジ温存で投資へ」の教科書解と、「投資用ローンを前倒ししてCF化」した私の実践、それぞれが合う人の条件
- 節税(損益通算)の実感と、その裏にある否認リスク・デッドクロスという注意点
読了目安:約6分
結論:低金利の自宅ローンは返すな。返さず”余剰の行き先”を設計する
今日も自由への一歩、私(アンディ)です。2026年6月、日本銀行の利上げ局面が続き、変動型住宅ローンの基準金利も引き上げ局面に入ってきました。「早めに返さないと損だ」と焦っていませんか。
ここで、よくある誤解を先に外します。「リベ大の『借金は早く返せ』は住宅ローンには当てはまらない」という書き方を時々見かけますが、これは正確ではありません。リベ大自身が、低金利の住宅ローンは急いで繰り上げ返済するな、と明確に言っています(低金利・手元現金が消える・投資機会を逃す・住宅ローン控除(出典: 国税庁「No.1211-1 住宅の新築等をし居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」)、といった理由で)。「リベ大は繰り上げ返済推奨、私は反対」という対立を期待されたかもしれませんが、この点はむしろ完全に同意見です。
リベ大が「早く返せ」と強く言うのは、カードローンや消費者金融のような高金利の借金です。1〜2%で借りられる自宅の住宅ローンは別カテゴリーで考える——ここまではリベ大と私の共通見解だと、はっきり書いておきます。だからこの記事の主題は「返すか返さないか」ではなく、返さずに空いた余剰資金と与信枠を、どこへ向けるかという一点に絞ります。
本題は「浮いた枠と現金」の使い道。私はレバレッジ温存を選ばなかった
低金利ローンを返さないと決めた瞬間、次の問いが立ち上がります。そこで浮いた与信枠や現金を、どう扱うか。ここから先は「私はこう動いた」という一人の実践であって、あなたへの推奨ではありません。教科書の答えと、私の実際の行動は、はっきりズレています。
教科書の答えは「レバレッジ温存で投資へ」——数字の上ではこれが優等生
理屈だけを追えば、教科書の答えははっきりしています。自宅ローンは1〜2%で借りたまま繰り上げ返済せず、手元資金は配当株やオルカン(全世界株式インデックス)へ回す。期待リターン5%前後との金利差3〜4%が、毎年積み上がる利益機会になる——これが「低金利レバレッジ温存」の考え方です。あくまで過去実績ベースの目安で、価格変動と減配のリスクは織り込み前提ですが、数字の上では、確かにこれが優等生の解答です。
私が実際に選んだのは、投資用ローンの”前倒し返済”だった
ところが、私自身が実際に取った行動は、この教科書とズレています。私は投資用ローンをむしろ前倒し返済し、キャッシュフロー(手残り)を厚くする道を選びました。理屈では「温存が正解」と分かっていながら、です。なぜか。理由は3つあります。
- 手残りの雪だるまを作りたかった: 前倒し返済で毎月の返済が軽くなると手残りが増える。その手残りを次の物件の前倒し返済へ回す——という循環を意図しました。レバレッジ最大化ではなく、CFの安定拡大を優先した選択です。
- 精神的な安定を金利差より重く見た: 収入が止まった時期を経験した私にとって、「返済が軽い」状態の安心感は、理論上の期待リターン数%より価値がありました。ここは数字だけでは割り切れない、私の性格の問題です。
- 節税と組み合わせた: 減価償却などで不動産所得の見かけ上の赤字を給与所得と損益通算(出典: 国税庁「No.2250 損益通算」)し、税負担を圧縮。浮いた分を返済に回す循環を作りました。節税効果は実感としてしっかりありました。
正直に認めます。純粋な期待値計算なら「温存して株へ」の方が上だったかもしれません。それでも私は前倒し返済を選び、後悔はしていない。理屈の最適解と、自分が続けられる実践は、必ずしも一致しない——これが7年やって得た一番の学びです。
節税を語るなら、否認リスクとデッドクロスもセットで置いておく
節税効果があったのは事実ですが、片手落ちにならないよう裏側も書きます。損益通算による節税には、①事業性・実態が不十分だと雑所得的に扱われ損益通算が否認されるリスク、②減価償却が切れると黒字なのに現金が苦しくなる「デッドクロス」、③土地取得分の借入利子は損益通算の対象外、という注意点が必ず付いてきます。実感として効くのは確かですが、実行前に必ず税理士へ確認してください。ここを飛ばして真似ると、数年後に足をすくわれます。
「温存」と「前倒しCF化」、どちらが自分に合うかは性格と前提で決まる
ここまでで、答えが一つでないと分かってもらえたはずです。二つの道を、合う人の条件で並べます。どちらが上位ということではなく、性格と前提で分かれます。
レバレッジ温存が合うのは「期待値を淡々と追え、下落に眠れる人」
期待値を淡々と追え、相場が下落しても夜眠れる。生活防衛資金が厚く、金利上昇で返済が増えても耐えられる収入バッファがある。こういう人は、低金利ローンを温存し、余剰を配当株やオルカンへ回す道が数字上は有利です。ここはリベ大の「まず賃貸+NISA(出典: 金融庁「NISA特設ウェブサイト」)満額」の王道とも相性が良い。
前倒しCF化が合うのは「返済の軽さを金利差より重く感じる人」(=私)
理論上の数%より「返済が軽い安心感」を重く感じる。手残りを目に見える形で増やしていきたい。相場変動に一喜一憂したくない。こういう人は、投資用ローンを前倒し返済してCFを固めていく道もあります。ただし——ここに大前提があります。
そもそも”買っていい物件か”が先です。リベ大は業者主導の区分マンション/新築ワンルーム投資を強く警戒しています。私もそこは全面同意で、実は私自身、理解しきる前に区分を買ってしまった当事者です。そもそも「持ち家か賃貸か」を投資と混同せず分けて考えるべき、という話は別記事(住む契約と不動産投資を分けて考える)にまとめました。ここで言う不動産投資は、自分で利回りとリセール(再販価値)まで検証できる中古に限り、生活防衛資金・目利き・運用知見が揃っていることが条件です。業者に勧められるまま買う区分/新築ワンルームは、温存だろうが前倒しだろうが、その手前で立ち止まってください。
すでに自宅ローンがある人/これから住まいを考える人へ
すでに自宅ローンを組んでいる方: 団信(団体信用生命保険)を生命保険代わりと割り切り、低金利の自宅ローンは慌てて返さない——ここはリベ大と同じです。手元資金は生活防衛資金を確保したうえで、繰り上げ返済か投資かを自分の性格で選べば良い。相場下落で眠れなくなる方は、無理に投資へ寄せず現金と返済で足場を固めて構いません。
これから住まいを考える方: 「自宅を買ってローンを組む」以外に、「賃貸に住み、投資は別途”検証できる中古”で組む」という選択肢もあります。ただしこれは、賃貸の意思決定を一人で完結でき、運用に時間を割け、下振れに耐えられる人向けの応用です。配偶者がマイホーム志向、学区を固定したい、運用経験ゼロで勉強時間も取れない——どれか一つでも当てはまるなら、まずは賃貸+NISA満額の王道で足場を固めるのが現実的です。
金利差だけで動かない。下振れと自分の性格まで込みで、余剰の行き先を決める
繰り上げ返済の安心感は、私自身がその価値を選んだ人間なので、よく分かります。同時に、低金利の自宅ローンを慌てて返す必要がないのも事実です。大事なのは「善か悪か」ではなく、返さずに空いた余剰を・誰が・どんな前提で・どこへ向けるかです。
ただし、どの行き先を選ぶにも下振れは併存します。投資用不動産なら空室・家賃下落・大規模修繕・物件価格下落、株式なら相場急落と減配、共通して変動金利上昇時の返済増、さらに金利が上がりきれば「そもそも借りられない」局面も来ます。だからこそ、生活防衛資金(生活費の1〜2年分)+半年〜1年分の返済バッファを残したうえで、余剰だけを動かす。これが現実的な実装ラインです。
最後に判断軸を。① 生活防衛資金が確保できているか、② 投資の知見と時間が取れるか、③ 金利上昇時の返済増に耐えられる収入バッファがあるか。3つ全てYesなら、温存か前倒しかを”自分の性格”で選ぶ段階です。1つでもNoなら、低金利の自宅ローンは急がず返済せず、まず①と②を整える順番で構いません。
そして今の私の立ち位置を一つだけ。区分から始めて7年、考え方は「一棟を基本に据える」方向へ進化しました。区分を複数積むより一棟で管理と規模を一体化させる方が、私には合う——その話はいずれ改めて書きます。数字に強く、人にやさしく。
免責事項
本記事は筆者個人の見解・体験に基づく情報提供であり、特定の金融商品の売買や投資手法を推奨・勧誘するもの(投資助言)ではありません。記載した試算・将来予測は筆者個人の意見で、将来の成果を保証するものではありません。投資・保険・税務等の最終的な判断は、ご自身の責任で、必要に応じて証券会社・税理士・ファイナンシャルプランナー等の専門家にご相談のうえ行ってください。詳細は免責事項をご覧ください。
